【徹底解説】企業側が求める「SAP導入/保守/ロールアウト」の実務とは?

SAP案件に関心を持つフリーランスやコンサル経験者の多くが、「導入」「保守」「ロールアウト」という言葉を耳にします。しかし、企業側がそれぞれのフェーズで実際に何を期待しているのかが曖昧なまま参画してしまい、ミスマッチが起きるケースも少なくありません。

本記事では、企業視点から見たSAP導入・保守・ロールアウトの実務内容を整理し、それぞれのフェーズでどのような役割やスキルが求められるのかを解説します。SAP案件への参画を検討している人が、期待値のズレを防ぐための判断材料として活用できる内容です。

SAP導入・保守・ロールアウトを企業はどう捉えているか

SAPは単なる業務システムではなく、企業の基幹業務そのものを支える存在です。そのため企業は、フェーズごとに異なる課題意識を持ちながら外部人材を活用しています。

SAP導入は「新しい業務基盤をどう作るか」、保守は「止めずにどう安定運用するか」、ロールアウトは「同じ仕組みをどう横展開するか」という視点で整理されます。この違いを理解することが、案件内容を正しく把握する第一歩になります。

SAP導入フェーズで企業が求める実務

導入フェーズの本質は業務設計にある

SAP導入フェーズにおいて、企業が最も重視するのは設定作業そのものではありません。現行業務をどう整理し、どこまでをSAP標準で対応し、どこを業務側で変えるのかという業務設計が中心になります。

企業側は「SAPを操作できる人」よりも、「業務を理解し、構造化し、説明できる人」を求める傾向があります。

私の経験上業務側の要望をそのまま受けるのではなく、「SAP標準で対応できる範囲」と「運用やアドオンで補うべき範囲」を即座に整理できる人は、導入フェーズで特に重宝されます。 

また、後工程や将来のロールアウトを見越し、「最初から作り込みすぎない設計」を止めてくれる人は、プロジェクト全体を理解している存在として信頼されやすくなります。

導入フェーズで期待される役割

要件定義や基本設計といった上流工程では、業務部門とIT部門の橋渡し役が重要になります。業務要件をそのまま実装するのではなく、SAPの制約や標準思想を踏まえた現実的な設計に落とし込めるかどうかが評価されます。

実際に導入フェーズでは、すべての問題がすぐに整理されるとは限りません。 実務経験者の視点では、原因が確定していない段階であっても、「今わかっていること」と「まだ分かっていないこと」を切り分けて説明できる人は、企業側から高い信頼を得やすいとされています。 
誰の責任かを探すよりも、まず業務を止めない判断を優先し、現実的な対応を提示できるかどうかが、現場評価を大きく左右します。

SAP保守フェーズで企業が求める実務

保守フェーズの最優先事項は安定稼働

SAP保守フェーズでは、新しい仕組みを作ることよりも、既存業務を止めないことが最優先になります。問い合わせ対応、障害対応、軽微な改善対応など、日々の業務を支える実務が中心です。

企業側は、スピードと正確さを両立しながら対応できる人材を求めています。

保守フェーズで評価されやすいポイント

保守業務では、技術力以上に状況把握力や説明力が重視されることがあります。発生している事象の背景や影響範囲を、非IT部門にも分かる言葉で説明できる人材は、信頼を得やすくなります。


実際に保守・運用フェーズでは、障害が起きた際に技術論から入るのではなく、「今どの業務が止まっているのか」を最初に確認してくれる人は、現場に強い安心感を与えます。 

原因がすぐに特定できない場合でも、暫定回避策や影響範囲を素早く示してくれる対応は、実務上非常に評価されます。

SAPロールアウトフェーズで企業が求める実務

ロールアウトは再現性が最重要テーマ

ロールアウトとは、すでに導入済みのSAPを他拠点や海外拠点へ展開するフェーズです。新規導入とは異なり、既存設計をどれだけ正確に再現できるかが重視されます。

企業側は、過去の設計意図を理解し、それを崩さずに展開できる人材を求めています。

私の経験としてグローバルテンプレートを守るべき部分と、現地要件に合わせるべき部分を感覚的に判断できる人材が重宝されます。 
本社と現地のどちらかに寄りすぎるのではなく、双方が納得できる落とし所を見つけられる人は、ロールアウト案件で強い評価を得やすくなります。

ロールアウト特有の難しさ

ロールアウトでは、言語、商習慣、業務プロセスの違いに対応する必要があります。そのため、設定作業以上に、関係者との調整や合意形成が実務の中心になります。調整力やコミュニケーション力が成果を左右します。

実際に想定外の課題が発生すること自体は珍しくありません。
その際、原因究明よりも先に、「今どの業務に影響が出ているのか」「止めてはいけないポイントはどこか」を整理し、業務継続を優先して判断できる人は、企業側から強く信頼されます。

特に本社・現地双方の利害が絡む場面では、責任論に寄らず、現実的な落とし所を示せる対応力が評価されます。

導入・保守・ロールアウトで求められるスキルの違い

SAP案件はフェーズによって求められるスキルが大きく異なります。導入フェーズでは業務設計力、保守フェーズでは安定運用と説明力、ロールアウトフェーズでは再現性と調整力が重視されます。

企業は常に「今、このフェーズで何ができる人が必要か」という視点で外部人材を見ています。そのため、自分がどのフェーズに強みを持っているのかを言語化できるかどうかが、案件獲得に直結します。

企業がフリーランスSAP人材に期待するスタンス

技術力よりも「任せられるかどうか」が重視される

企業がフリーランスSAP人材に求めているのは、単なる作業者ではありません。フェーズに応じて課題を理解し、先回りして提案できるかどうかが重要視されます。

特に導入やロールアウトでは、「何を決めなければならないか」を整理し、判断材料を提示できる人材ほど信頼を得やすくなります。

社内メンバーと同じ目線で動けるか

企業側は、外部人材であっても「一緒にプロジェクトを進める仲間」として動いてくれるかを見ています。業務理解を深め、社内の制約や事情を踏まえた対応ができる人材は、継続依頼につながりやすくなります。

フリーランスがフェーズ選択で失敗しないための考え方

経験を積みたいフェーズと評価されるフェーズは違う

フリーランスとしてSAP案件を選ぶ際、「どのフェーズなら評価されやすいか」と「自分が成長できるフェーズか」は必ずしも一致しません。短期的な単価だけで判断すると、経験が積み上がらないケースもあります。

フェーズを意識してキャリアを設計する

導入で上流経験を積む、保守で業務理解を深める、ロールアウトで再現性と調整力を磨くなど、フェーズごとに得られる経験は異なります。どのフェーズを軸にするかを意識することで、キャリアの方向性が明確になります。

まとめ|企業はフェーズごとに異なる期待を持っている

SAP導入・保守・ロールアウトは、同じSAP案件でも性質が大きく異なります。企業側はそれぞれのフェーズで異なる課題と期待を持って外部人材を活用しています。

その期待を正しく理解し、自分の強みと重ね合わせて説明できる人ほど、SAP案件で評価されやすくなります。

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SAP案件はフェーズによって求められる役割が異なるため、自分に合わない案件に参画してしまうと、経験が積み上がりにくくなります。

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投稿者プロフィール

堤史明/Tsutsumi Fumiaki
堤史明/Tsutsumi Fumiaki
Ascend株式会社 代表取締役
早稲田大学卒業後、NEC、アクセンチュア、BCG(ボストンコンサルティンググループ)を経てAscendを創業。
製造業を中心に、SCM戦略策定/業務設計やERP導入などのグローバルプロジェクトをリードし、
DX/IT戦略立案、PM/PMO、新規事業開発など、企業変革を支えるコンサルティングに幅広く従事